我が家の社長？大泥棒？はたまた・・・

毎週、月曜日から土曜日まで、

朝８時に出勤して１７時には家に帰宅します。

出勤の際には、運転手付きの特殊車両で家の中まで運転手さんがお迎えに参ります。

「静々」と手を引かれて、危ない場所は声を掛けられ、細心の注意を払ってガードもしてくれます。

運転手さんはボデイガードも兼ねているようです。

特殊車両はお母ちゃんを向かい入れるべく、開け放たれたドアの前に一人掛け用の豪華な椅子を前進方向から９０度こちらを向けて、宙に浮く様にポンと置いてあります。

足がなく後ろから釣り下がったようなその椅子は

社長の椅子に付いている豪華なひじ掛けと、フワフワでクッションが良さそうで乗り心地がとってもよさそうです。

その椅子にドッカリ座ると、不思議なことにその椅子は

スーと、宙に舞ったかと思うと起用に下がったり曲がったりしながら特殊車両の中に前を向く様にして入っていきます。

この時のお母ちゃんには、威厳が一番大切な「社長」ですから。

「行ってらっしゃい」と声をかけても

目をつぶったまま、無言でうなずいて出勤していきます。





一日のお仕事を終えて帰宅したお母ちゃんは、お出かけする時と同じ様に手を引かれ

執務室に有るような豪華なアイボリー色の革張り（合皮だと思います）の椅子に腰を下ろしてテレビを眺め「ご飯は？アンタ作ってくれる？？」と、夕ご飯を所望します。

急いで夕飯の準備をするのですが、何せ自宅では人手が足りません。

色トリドリノの小鉢に美味しそうなおかずを載せて、一つ一つ丁寧に並べていきますが、どうしてもそろうまでに時間がかかってしまいます。

待ちきれなくなってしまったお母ちゃんは、美しい小鉢の中身に興味津々！

普段は、ゆとりが大事とばかりにチョウチョが止まるようなスピードでしか動かないお母ちゃんですが

この時ばかりは、加速装置が付いたサイボーグのように動くのです。

少し目を離した瞬間に、美しい小鉢はお母ちゃんの腕の中に移動しています。

困ったことに、この加速装置は少し正確性が悪いようで

美しい小鉢の代わりにボックスティッシュをつかむ事があって、「お母ちゃん、羊ではないのですから、ティッシュは食わないでください」

慌ててお口からかきだすのですが、ニヤリと笑って動じません。

どうやら、お母ちゃんにとっては盗み取ったことに意味があって、盗めたことに達成感があるようです。

「今度はどうやってバレない様に盗み取ろうか」等と思案をしているのではないかと思うような顔つきをしています。